JALマイルで至高の一杯を。幻の「山崎」「白州」セット、老舗バーマスターが語るその魅力

イメージ
Photo by cottonbro studio on Pexels ようこそ、いらっしゃいませ。今宵も、このカウンターで、静かにグラスを傾けませんか。銀座の片隅、喧騒を忘れさせるこの空間で、私は長年、多くのウイスキーとその背景にある物語を、お客様と分かち合ってきました。 さて、皆様の中には、JALのフライトで各地を巡る方もいらっしゃるでしょう。その旅の記憶を刻む JALのマイル が、また新たな、そして心躍る形で、皆様の元へ届くという嬉しい知らせが舞い込んできました。 マイルが紡ぐ、国産ウイスキーとの出会い 先日、 JALがマイル交換商品として、国産ウイスキーの「山崎」「白州セット」 を新たに加えたというニュースを耳にしました。これは、単に商品が増えたという話ではありません。日本のウイスキーが世界に誇る二つの銘柄を、皆様の旅の証であるマイルで手に入れることができるという、実に粋な計らいだと感じています。 日本の風土が育んだ「山崎」の深淵 まず「山崎」について語りましょう。京都の郊外、名水百選にも選ばれた豊かな水と、四季折々の気候が織りなす地で、日本初のモルトウイスキー蒸溜所としてその歴史を刻んできました。そのグラスに注がれた琥珀色は、日本の繊細な美意識と、職人たちの飽くなき探求心の結晶です。 口に含むと、甘く華やかな香りが広がり、複雑でありながらも調和の取れた味わいが舌を包み込みます。それはまるで、長い歳月をかけて、さまざまな原酒が静かに呼吸を重ね、互いの個性を高め合った結果。この一杯には、日本の豊かな自然と、ウイスキー造りに人生を捧げた人々の情熱が、深く深く刻まれているのです。 森の息吹を感じる「白州」の清涼 そして「白州」。南アルプスの森深く、標高700mの地に佇む蒸溜所は、まさに自然との共生を体現しています。森の澄んだ空気、清らかな天然水、そして豊かな酵母が、このウイスキーの個性を形作っています。 グラスを傾ければ、ミントや若葉を思わせる爽やかな香りが立ち上り、口に含むと、軽やかでありながらも奥深い味わいが広がります。まるで、清流が岩を伝って流れ落ちるように、五感を研ぎ澄ますような心地よさ。この一杯は、都会の喧騒を忘れさせ、森...

北海道の風土が育む、漆とベニヤの静かなる饗宴。妹背牛の農家・宮田さんが余市で紡ぐ「赤と黒の舞」

北海道の風土が育む、漆とベニヤの<em>静かなる饗宴</em>。妹背牛の農家・宮田さんが余市で紡ぐ「赤と黒の舞」
Photo by Marek Piwnicki on Pexels

今宵、皆様にご紹介したいのは、一杯のウイスキーが持つ奥深い物語にも似た、ある芸術の世界です。北海道の北、妹背牛という穏やかな土地から生まれた、静かなる情熱が込められた作品。それは、常識を覆す素材と、日本の伝統美が織りなす、まさに「赤と黒の舞」と呼ぶにふさわしいものです。

農家の手から生まれる、漆とベニヤの意外な出会い

グラスに注がれたウイスキーが、その土地の風土や職人の手によって形作られるように、この作品もまた、生み出された背景に深い物語があります。

手掛けるのは、妹背牛の農家、宮田さん。農作業の傍ら、漆という古くからの素材と向き合う彼の選択は、実に興味深いものです。そして、驚くべきことに、そのキャンバスとなるのは、私たちが日常で目にするベニヤ板なのです。

漆とベニヤ板。一見すると、全く結びつかない二つの素材が、宮田さんの手によって、一体どのような化学反応を起こすのか。それはまるで、熟成の時を経て、意外な香りを放つウイスキーのようです。素材の固定観念を打ち破り、新たな価値を見出すその試みに、私は静かな感動を覚えます。

伝統と革新が織りなす、「赤と黒の舞」の深み

彼の作品群は、「赤と黒の舞」と名付けられています。漆の世界において、赤と黒は最も根源的で、かつ力強い色彩の組み合わせ。それは、まさに生命の躍動、あるいは深い静寂をも感じさせるでしょう。

伝統的な漆の技法に、ベニヤ板という現代的な、あるいは素朴な素材を組み合わせることで、宮田さんは、漆が持つ奥深い美しさを新たな地平へと誘います。そこには、伝統への敬意と、型にはまらない自由な発想が共存しているのです。

この「舞」は、ただ色を塗るだけではありません。ベニヤ板の木目が漆を通して透け、あるいは力強いテクスチャーとなって現れる。それは、ウイスキーの樽材が、その液体に与える影響にも似て、素材そのものが持つ個性が、作品の深みとなっているのです。

余市で体感する、心揺さぶる漆アートの真髄

この類まれなる作品たちが、余市の地で、5日から作品展として皆様にお披露目されます。

余市といえば、北海道の豊かな自然と、歴史ある蒸留所が思い浮かびますね。そんな場所で、宮田さんの作品がどのような輝きを放つのか、想像するだけでも心が躍ります。ぜひ、皆様ご自身の目で、この「赤と黒の舞」を体感していただきたい。それは、一杯のウイスキーをゆっくりと味わうように、作品の背景に流れる時間、作り手の情熱、そして北海道の風土を感じ取る、特別な時間となることでしょう。

時に、最もシンプルな素材の中にこそ、最も深い芸術が宿ることがあります。宮田さんの作品は、私たちにそんな気づきを与えてくれるはずです。さあ、今宵はグラスを少し横に置いて、心ゆくまで、その「舞」に酔いしれてみてはいかがでしょうか。

コメント

このブログの人気の投稿

【ローソン限定】アイラ島発「ザ・ラディ・ハイボール」:銀座マスターが語る、スコッチウイスキーの新体験

グラスに宿る日本の美。サントリーウイスキー「響」最高峰を味わう、3日間限定の至福

グラスに映る夢:Amazonで巡り合う『山崎』『白州』、稀少なるウイスキーくじ第72弾の誘い